「エピクロスの処方箋」「スピノザの診察室」を彩る甘味の魅力


終末期を迎える患者とその家族を描写した作品を読みたい思いから、夏川草介先生の「スピノザの診察室」と「エピクロスの処方箋」を読了しました。
主人公のマチ先生は、卓越した医療技術と哲学者のような深い洞察力を兼ね備えています。
2冊のタイトルに「スピノザ」と「エピクロス」とどちらも哲学者の名前が入っているのも納得です。
そしてマチ先生は大の甘いもの好きで、作品の中で登場する好物の和菓子が読者を魅了します。
私も魅了された読者の一人で、念願かなってマチ先生お気に入りの「三大銘菓」を堪能しました!
神馬堂「矢来餅」.上賀茂神社



まず訪れたのは、上賀茂神社の鳥居のすぐ近くにある「神馬堂」です。
創業明治5年の「やきもち」の名店です。
当日は小雨の降る平日。にもかかわらずお客さんが並んでいる状態でした。
午後になると売り切れてしまうことも多いそうです。支払いは現金のみです。


「エピクロスの処方箋」第二話「冬至考」
マチ先生が購入後数日経った「矢来餅」の食べ方を紹介しています。
本文より
冷蔵庫から取り出したのは数日前に買った矢来餅だ。
そのままではすっかり硬くなった餅菓子も、レンジで温めたあとにトースターで薄く表面を焼くと
絶妙な状態に戻ってくる。
食レポ
ほんのり焦げた香ばしさがあり、つぶあんとしっかりめのおもちのマッチングがたまらん!です。
北野天満宮近く「長五郎餅本舗」



二件めは、京都北野天満宮の近くの「長五郎餅」本店です。
流石、学問の神様なので修学旅行らしき学生さんでいっぱいでありました。
上記右の画像は、有名な「撫で牛(なでうし)」です。撫でるとご利益があるということで、しっかり撫でさせて頂きました😉


北野天満宮から徒歩5分くらい商店街の中にある「長五郎餅本舗」で購入しました。
こちらでの支払いはカード払いもOKでした。
毎月25日は北野天満宮境内茶店の営業もありますが、こちらは早い時間に売り切れてしまうそうです。(要確認)


「エピクロスの処方箋」第四話「初弘法」
洛都大学教授の父の困難極まりない手術を花垣准教授と共に成功させたマチ先生に感謝して、御礼として届けられたのが大量の「長五郎餅」でした。
本文より
ひとつひとつに丁寧に熨斗紙がつけられたその箱には、北野名物長五郎餅の名がついている。
差出人は洛都大学教授、飛良泉虎彦。
「こういう大量のお菓子が届くのってさー」~略
「いえいえ、昨年はもう少し控え目な景色でしたよ。ひと箱二十個入りが十箱。しめて二百個の長五郎餅なんて、こんな非常識な話はありません」….
山積みの二百個の長五郎餅が目に浮かぶような楽しいくだりです。
食レポ
やわらか~く伸びるお上品な羽二重餅です。甘過ぎないので、何個でも食べてしまいます💦
「阿闍梨餅本舗」満月.本店


京阪電車、叡山電鉄「出町柳駅」から徒歩約7分ほどのところに満月本店があります。
3件めに訪れたお店です。予約で50個の阿闍梨餅を購入されるお客さんに出くわしました。
流石です。
こちらのお店も支払いは現金のみでした。


「スピノザの診察室」第二話「五山」
いっしょに暮らすしっかり者の中学生で甥の龍之介くんとマチ先生の会話です。
本文より
「いいかい龍之介」
哲郎は箸を止めて、わざとらしく真面目な顔を作った。
「世の中には死ぬまでに絶対食べておくべきうまいものが三つあるんだ。知ってるかい」
「いいえ、なんですか?」
「矢来餅と阿闍梨餅と長五郎餅だ」
「全部、餅じゃないですか」
甥の抗議の声に、哲郎の方はむしろ満足げだ。
「辛いときやがんばっているときには甘いものを食べるにかぎるんだよ」
はいはい、と受け流しつつも龍之介の頬には微笑がこぼれている。
”寂しい時には甘いものを食べるに限るよ”
「スピノザの診察室」第一話「半夏生」
マチ先生が夕食前にこっそり阿闍梨餅を食べたシーンが書かれています。
本文より
「これから夕食ですよ」と冷たい目を向ける龍之介に、ひとつだけ、と人差し指を立てて懇願しながら、もぐもぐと幸せそうに舌鼓を打つ。高僧の笠をかたどった独特の形状の餅は、皮がぽってりと分厚いわりに柔らかく、咀嚼とともにたちまち粒あんの豊かな甘味が広がっていく。風味も甘味もたっぷりしていながら、後味はすっきりして品がよい。哲郎の好物のひとつだ。
一日で3軒回ったルート
「出町柳駅」をスタートにバスで回りました。
神馬堂の「矢来餅」の売り切れを考慮して、
🚩「出町柳駅」からバスで「上賀茂神社」
→「矢来餅」get!
🚩「上賀茂神社」からバスで「北野天満宮」
→「長五郎餅」get!
🚩「北野天満宮」からバスで「出町柳駅」
→「阿闍梨餅」get!
作品中に登場するその他の甘いもの
❤️京都大学近く.百万遍にある老舗の名店「緑寿庵」の金平糖
⇒「スピノザの診察室」第三話「境界線」
❤️京都.今出川の「大黒屋」の御鎌餅
⇒「エピクロスの処方箋」第四話「初弘法」
❤️大型書店「丸善京都本店」に併設されているカフェの「檸檬ケーキ」
⇒「エピクロスの処方箋」第三話「百鬼夜行」
京都老舗の名店の甘味の数々が、作品を一段と
興味深く、楽しいものにしてくれています‼


